訪問看護物語3

「お風呂の中の内緒話」

在院日数の短縮により、病院に不信感と在宅生活に大きな不安をもって帰ってこられる方が増えてきています。

Aさんもそんな一人でした。

見捨てられたという感情が大半を占める中、在宅生活に希望の言葉はなく、私たちに何を望んでいるのか、どうしてほしいのかと悩む日々でした。

Aさんの話を1時間聴くだけが精一杯の訪問が続きましたが、ゆっくりゆっくり話を聴きました。

ところが3カ月後Aさんの口から「看護婦さんにお風呂にいれてもらいたい・・・」

お風呂の中では、病気の事や身体の相談はもちろん、今までの84年間の苦労話やご主人のうっぷん、冗談話で話が絶えず笑い声も響いています。

今では、入院することもなく、1週間に1回お風呂の中で女だけの内緒話をすることがAさんと私の楽しみとなっています。

私ははじめ訪問看護は、ケア・処置など医療者として何かしないといけないと思っている面がありました。

しかし時間をかけて相手の思いを共感しあうことで、信頼関係ができ誇りをもってできる仕事なのだと感じます。

ソレイユの花言葉のような「いつでもあなたのおそばにいる」看護師であり続けたいと思います。